掃き溜めアラカルト

多分が余分

キラキラ系になりたかった

度々、キラキラした人達が羨ましいと思うことがある。

 

ーーキラキラした人達といってもピンと来ないかもしれないから、一応定義を明確にしておこう。ここでいう「キラキラした人達」というのは、語学留学という名目で韓国やアメリカに短期留学して海外かぶれになったり、起業系サークルで横文字を並び立てて将来の展望を語ったりしているような人たちのことをいう。もう少し一般的な表現でいうと、「意識高い系」が妥当な線だろうか。「意識高い系」というワードは専らネガティブな意味で用いられ、実際ネット上でそう揶揄される人を眺めてみると(自分の周りにこういう人はいない)、大抵胡散臭いオンラインサロンを運営しているか、ネズミ講紛いのビジネスに手を染めている。

 それでも、私は彼ら/彼女らのことが羨ましくて仕方がないのだ。なぜなら、彼らが底しれぬ「ポジティブさ」を持っているように思えるからだ。たとえ彼のやっているビジネスの実ががらんどうで無意味なものだとしても、たとえ彼女の短期留学が観光とさしも変わらないものだったとしても、たとえ彼のいう「プロジェクト」がろくでもない結果を出そうとも、彼ら/彼女らはとにかく自信に、活力に、そしてなにより幸せに溢れているように見える。

 それに比べて自分はどうだ。

足りない頭で邪推して間違えたことが、必要以上に用心して失敗したことが、何度あっただろうか。

自信を失って諦めたり、過度にネガティブになって意気消沈したことが、何度あっただろうか。

こういう性分だからとっくのとうに諦めているが、もしできることなら「キラキラした人達」の一員になりたい。

「社会を幸せにする」「世界を楽しくする」こんな弱々しくて、でもきらびやかな夢を追いかけて、追いかけて、たとえ叶わなくても、それを夢見て。時にはそれを同じ意志を持つ仲間と語り合って。少し休んだらまた走り出して。

そんな彼らのことが羨ましく見えるのは、僕だけだろうか。いや、僕だけかもしれない。あっ、俺だけ?

 

-------------------

かなり前の話になるが、僕の周りに「長期で韓国留学に行きたい」と言っていた人がいた。よくよく話を聞いてみると、想像以上に目的意識も持っておらず、ただ「海外に行きたい」という理由でそう言っていることがわかった。中途半端にリアリストな僕は「もう少し考えたほうがいいと思う」と言ったが、その人は自分の意思を曲げようとはしなかった。そんな様子を見て、当時の僕は「なんてバカなんだ」と思っていた。でも、本当にバカだったのはその人ではなかった。真にバカだったのは、中途半端なリアリズムにかぶれ、将来有望なその人の可能性を否定した、この僕だったのだ。